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会社は誰のものか キーワードで読み解く現代会社論ガバナンス/コンプライアンス/CSR/リスクマネジメント/内部統制システム/敵対的M&A 今日、経営の目的は株主の利益を追求すること、すなわち株価を上げ高配当を実施して、株主価値を最大化することにあると説明される。その目的のため、経営の効率性が重視される。企業行動は経営者が意思決定を行い、そのリーダーシップのもとで遂行されるから、企業行動を律するとは経営者行動を律することであり、どのような仕組みでそれを行うかがガバナンス・システムの問題となる。 一方、こうした株主重視の考え方に対し、株主、従業員、取引先、顧客、地域社会、国家、環境など企業を取り巻く多くの利害関係者(ステークホルダー)に付加価値をバランスよく配分し、企業という仕組みを社会的な課題の解決のために機能させることこそ重要とする見方もある。 こうした現代会社論をめぐるさまざまな議論を代表著作から見てみよう。 ![]() コーポレート・ガバナンスにおける商法の役割神田秀樹編 続発する内外企業の不祥事に対しその抑制を図るとともに企業経営の効率性の確保の観点から、近時コーポレート・ガバナンス問題が注目を浴びている。 コンプライアンス(法令遵守)体制、内部統制システム、リスク管理体制を確立し、企業の競争力強化、パフォーマンス向上のためにはどのようなコーポレート・ガバナンスが望ましいかという視点から、商事法分野でも重要課題となってきている。わが国でも委員会等設置会社制度の導入など経営管理機構に関する改正がなされ、さらに会社法の現代化に際しても、会社機関設計の自由度の増大とともに経営の透明性、説明責任の向上の観点からの改正が予定されている。 本書はコーポレート・ガバナンスをめぐる最新テーマを気鋭の学者、実務家が各専門分野から総合検討したもの。相次ぐ法改正の検証から公正性や透明性を備えたガバナンス・システム構築まで論じている。 かんだ ひでき 53年生まれ。77年東京大学法学部卒。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。 ![]() コーポレートガバナンス・マニュアル 21世紀日本企業の条件若杉敬明監修 大和総研経営戦略研究所編 これまで株式会社では、取締役会の監督のもとで経営者が経営に当ってきた。日本でも取締役会とともに監査役が経営者を律するシステムが採用されてきた。 しかし、このシステムでは、企業不正を防止できず、加えてグローバル競争の進展という経営環境の変化に対応できないという限界を露呈した。 取締役が経営者を兼ねた取締役会の形骸化に対処するため、米企業では執行役員が経営を行い、取締役会は執行役員を監督するというマネジメントとガバナンスを分離する方策を取り始めている。わが国でも02年商法改正で委員会等設置会社が導入され、新たなガバナンス・システムをサポートする制度が整えられた。 本書は、このような状況を受けて、経営執行と監督を分離してガバナンス機能の確保を行うことを主眼に、株主価値の最大化のためのガバナンス・システム構築の手引きとして提言された「コーポレートガバナンス・マニュアル」を解説・紹介したものである。併せてガバナンス調査で高い評価を得た各社のコーポレートガバナンスの現状を紹介している。いま最も具体的な経営機構設計図として経営者必読の書であるといえる。 わかすぎ たかあき 東京大学経済部卒。東京大学名誉教授、東京経済大学教授。 ![]() 「敵対的M&A」防衛マニュアル 平時の予防策 緊急時の対抗策野村證券IBコンサルティング部編 ニッポン放送対ライブドアの企業買収事件が世の耳目を集めている。 ライブドアがニッポン放送現経営陣の賛同を得ずして同社株式を買い進んだため、敵対的買収として関心を集めたわけだが、世界的に見れば、こうした事例はめずらしいことではない。 しかし、この事件を通じて、上場企業をめぐる重要問題が明らかになった。 それは、コーポレート・ガバナンスの形態や株主と他のステークホルダーと会社の関係はどうあるべきか、持ち合い解消の流れのなかで株主構成をどうするか、配当・自己株取得など株主還元はどう行うのか、株主価値を最大化するにはどうしたらよいか、などである。 逆にいえば、こうした諸問題を軽視している会社、たとえば株価が割安で、内部保留が厚いにもかかわらず配当が低い、浮動株が多く株主構成が不安定などといった会社は、敵対的M&Aのターゲットになる。 敵対的買収のリスクが高まるなかで、本書では平時の予防策として株主価値を高めることや情報収集能力の向上からポイズンピル導入まで説明し、敵対的買収を仕掛けられた際の対処法、プロキシーファイトまで先行事例をあげながらがストーリーで説明している。 ![]() 内部統制の実務土田義憲著 コーポレート・ガバナンスの本質は企業価値を高めるために取締役会、経営執行者、従業員が経営目標を理解し、目標達成のために活動するよう人々の行動をコントロールすることである。 事業は不確実性を伴う。これをリスクと呼ぶが、近年では、個別業務に関するリスクのみならず、全社的に見て重要なリスクまで網羅し戦略性と最適性の観点から管理を行うリスクマネジメント体制の構築が重要視されている。 取締役会は企業を取り巻くリスクを管理するために方針を決定し、それに基づいたインターナルコントロールの構築を経営執行者に求めなければならない。このインターナルコントロール・システムにより企業価値増大に反する非効率的な活動や不正行為を防止し、経営目標達成に向けた活動が担保されることになる。 本書は、エンロン事件以来、国内外で関心が高まる内部統制について、前提となるコーポレート・ガバナンスの考え方からビジネスリスクマネジメントまでを詳説したものである。 つちだ よしのり 78年中央大学大学院商学研究科卒。 ![]() 経営のためのトータルリスク管理津森信也・大石正明編著 経営上の基本的リスクとは、自社が存続できなくなるというリスクである。そのリスクをトータルに管理することとは、将来の業績が不確実であることを認識し、業績悪化を招かないよう、持続的な成長を達成できるような対策を実行することである。その必要条件は、企業が株主価値創造経営を実践することである。 ここで株主価値創造経営とは、株主より優先する従業員、顧客、取引先、債権者、社会など他のすべてのステークホルダーの満足を得る必要があり、そのうえで最劣後の請求権者である株主を満足させるものであることに注意を要する。 本書でいうトータルの意味は、企業の経営体制そのものもリスク管理の対象となるということである。 肝心なことは複数の相関するリスクに適切に対処できる経営体制を構築することであり、換言すれば株主価値を向上させる経営体制の構築である。これを担保するコーポレート・ガバナンス、内部統制システムの確立に他ならない。 つもり しんや 神戸大学経済学部卒。丸紅(株)取締役財務部長を経て現在、日本福祉大学大学院教授。 著書に「EVA -価値創造経営」中央経済社(01年)他がある。 ![]() CSR経営 企業の社会的責任とステイクホルダー谷本寛治編著 CSR(企業の社会的責任)とは、企業活動のプロセスに社会的公正性や環境への配慮などを組み込み、ステイクホルダー(株主、従業員、顧客、環境、コミュニティなどの利害関係者)に対しアカウンタビリティ(説明責任)を果たし、その結果、経済的、社会的、環境的パフォーマンスの向上をめざすことである。 企業は活動プロセスにおいて、これらステイクホルダーと相互に連関して企業社会システムを形成しているからである。 かかる企業活動に対しては、市場も評価する。その結果、企業ブランドや評判が向上し、人材、顧客、投資を引きつけ、地域社会から受け入れられる。CSRはトータルな企業価値を高めることになるといえる。 その内容は、具体的には、まず、経営プロセスに公正性、倫理性、環境への配慮を組み込むことである。すなわち、環境対策、人事の公正性、女性の登用、人権問題、製品の品質や安全性、労働環境、軍事産業との関係、情報公開などがCSRマネジメントの核心となる。他に、社会的商品、サービス、事業の開発や経営資源を活用したコミュニティへの支援活動などが要請される。 ステイクホルダーから支持される企業になるための具体的指針を提示する書である。 たにもと かんじ 神戸大学大学院修了、経営博。 |
