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―心豊かな武士の暮らしの1コマ―
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大岡敏昭著 1470円(税込み) 相模書房
江戸から北に15里ほど離れた関東平野の一角に小さな城下町があった。幕末には松平氏所領の忍藩十万石の城下(現埼玉県行田市)である。そこに尾崎石城という下級武士がいたが、彼の書き記した「石城日記・全7冊」が残されている。(中略) 石城日記は絵日記である。そこには、石城の自宅、友人宅、そして寺と料亭などのさまざまな人びとの暮らしの風景が文章とともに挿絵として丹念に描かれている。それはおそらく、絵日記としては現在のところ発見されている日記のなかでは唯一のものであろう。 この絵日記の作者、尾崎石城は江戸詰めの庄内藩士浅井勝右衛の子として生まれ、忍藩士の尾崎家の養子となった。当初は御馬廻役で百石の中級身分であったが、安政4年の29才のときに上書して藩政を論じたために蟄居申し渡され、わずか10人扶持の下級身分に下げられてしまった。どのようなことを論じたのかはわからないが、日記のなかに水戸浪士の所業に共鳴している一文があることから、尊皇攘夷の心情に近かったのかもしれない。ところが忍藩は水戸と対立する譜代親藩であったから、このような家臣の動きには抑圧的であった。(中略) そのような石城と彼を取りまく人びとの暮らしの様子を絵日記として書いているのであるが、それは愉快で楽しく、またなごやかである。絵は画才にすぐれていたとはいえ、実にうまくて思わずふきだしてしまうような場面も多いが、それは作者の人柄がにじみ出ているからであろう。 われわれは江戸時代の人びとの生活を封建的身分制のなかで恐々と生き、遅れた社会であると思いがちであったが、しかしその風景はどうも違うようである。この絵日記からは、下級武士たちの暮らしと住まいがどのようなものであったか、そしてどのような価値観を持って生きていたかを具体的に知ることができる。そこには、暮らしと生き方において、金銭物欲的で利己的な価値観がはびこり、住まいにおいては自己中心的なつくり方が多い現代とは異なり、きわめて心豊かな風景を多く見出すのである。 そこから現代人が見失ってしまったものを再発見し、少しでも未来への示唆が得られればと思う。
相模書房 〒104-0061 東京都中央区銀座2-11-6 Tel 03-3542-0660
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08.01.21 即効即決! 驚異のテレアポ成功術
07.12.21 コピー用紙で折る
07.11.21 なにわ大阪食べものがたり
07.09.21 企業不祥事事典 ――ケーススタディ150―
07.08.21 海を抱いたビー玉 ―〜甦ったボンネットバスと少年たちの物語〜―
07.07.21 少数言語としての手話
07.06.21 「いのち」の話がしたい
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07.04.21 「生死」と仏教―名僧の生涯に学ぶ「生きる意味」―
07.03.21 書物の日米関係
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07.01.21 竹内好セレクション 全2巻
06.11.21 『怖るべき天才児』
06.09.21 心の荷物をすっとおろす 号泣力
06.08.21 嘘とだましの心理学―戦略的なだましからあたたかい嘘まで―
06.07.21 変化に直面した教師たち
06.05.21 ガイドブック 成年後見制度
06.04.21黄金期歌舞伎名優アルバム
06.03.21動物おもしろ基礎知識
06.02.21辞書の政治学
06.01.21蘇我氏四代
05.12.21聴覚障害者への統合的アプローチ
05.11.21中国古典小説選
05.09.21アキラの地雷博物館とこどもたち
05.08.21母さん僕のために泣かないで
05.06.21夜の記憶
05.05.21古代日本の女性天皇
05.03.21ようこそ、ろうの赤ちゃん
05.02.21航空「2強対決」11選
05.01.21NPOと新しい社会デザイン
04.11.21犯罪科学捜査