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―名優たちが眼前に甦る―
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河竹登志夫 監修 松井俊諭 編著A4判変型 7140円(税込)二玄社
この写真集は、鳥類研究家として知られた三井新町家第十代高遂氏(一八九五〜一九八六)が蒐集した厖大な数の歌舞伎俳優のブロマイドから、約三百点を厳選して収録したものである。
撮影年代は大正六(一九一七)年から昭和三(一九二八)年までの十二年間。ここに見る名優たちは、現在活躍中の代表的俳優の祖父の世代に当る。明治の名優“團菊”に直接教えられて、伝統の芸を継承した人たちだ。
私は残念ながら、羽左衛門、幸四郎、菊吉あたり、それも晩年の舞台からしか記憶していない。だが明治三十年、奇しくも三井氏誕生の翌年に日本橋に生まれた母は、ここに登場する名優たちの全盛期を見ていて、いかにすばらしかったかを話して聞かされたものだ。あの人のあれを見たから、もう結構だなどとも。まさに黄金時代だったのだろう。
いや日本そのものが、ある意味では最良の日々だったのではなかろうか。大正六年には第一次世界大戦が始まるが、日本にはむしろ有利に終り、その後関東大震災はあったがすぐ復興して市民文化が熟していく。しかし昭和四年には大恐慌が襲い、六年には満州事変が起って長い戦争の時代に入る――。思えば大正中期から昭和初期にかけては、激動に喘ぐ近代日本にとって、束の間の平和の一刻だったのだ。
このアルバムに盛られた歌舞伎黄金時代は、こうした古きよき時代の日本でこそ生まれ得たのである。「今日は帝劇、明日は三越」なる名句もそのころ流行したのだが、歌舞伎座とならんで帝劇での写真が少なくないことにも、その時代が偲ばれよう。
このアルバムは、松井俊諭氏の「あとがき」(総合解説)に詳述されているように、自身すぐれた写真家でもあった三井氏の自作写真集『歌舞伎名優時代』(昭和六十三年二玄社刊)のいわば姉妹編である。が、今回のは氏が蒐集した絵葉書式ブロマイド、それもたった一人で集めたものであるところに、歌舞伎への並々ならぬ愛情がうかがわれる。その多彩な内容や価値については、これも松井氏の行き届いた解説に明らかだが、各優の代表的な役々ばかりか、一期一会ともいうべき史上唯一度の、珍しくも貴重な舞台姿もある。
従ってこのアルバムの出版は、ありし日の名優を眼前に甦らせ、歌舞伎黄金時代を偲ばせてくれると同時に、近代演劇史の資料としても貢献するところが多大であると、信じて疑わない。(「序」より)
08.04.21 愛国者の座標軸
08.02.21 発達としての共食
08.01.21 即効即決! 驚異のテレアポ成功術
07.12.21 コピー用紙で折る
07.11.21 なにわ大阪食べものがたり
07.09.21 企業不祥事事典 ――ケーススタディ150―
07.08.21 海を抱いたビー玉 ―〜甦ったボンネットバスと少年たちの物語〜―
07.07.21 少数言語としての手話
07.06.21 「いのち」の話がしたい
07.05.21 幕末下級武士の絵日記
07.04.21 「生死」と仏教―名僧の生涯に学ぶ「生きる意味」―
07.03.21 書物の日米関係
07.02.21 団塊の楽園
07.01.21 竹内好セレクション 全2巻
06.11.21 『怖るべき天才児』
06.09.21 心の荷物をすっとおろす 号泣力
06.08.21 嘘とだましの心理学―戦略的なだましからあたたかい嘘まで―
06.07.21 変化に直面した教師たち
06.05.21 ガイドブック 成年後見制度
06.04.21黄金期歌舞伎名優アルバム
06.03.21動物おもしろ基礎知識
06.02.21辞書の政治学
06.01.21蘇我氏四代
05.12.21聴覚障害者への統合的アプローチ
05.11.21中国古典小説選
05.09.21アキラの地雷博物館とこどもたち
05.08.21母さん僕のために泣かないで
05.06.21夜の記憶
05.05.21古代日本の女性天皇
05.03.21ようこそ、ろうの赤ちゃん
05.02.21航空「2強対決」11選
05.01.21NPOと新しい社会デザイン
04.11.21犯罪科学捜査