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―ひとはなぜ辞書を引くのか―
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安田敏朗著四六判 2940円(税込)平凡社( この本のページ )
私自身の辞書経験については、「おわり」に記したので、ここでは本書の成立について記しておきたい。辞書経験以上に、私事にわたることがらである。
一九九九年五月のある晩のこと。
京都百万遍界隈の、まだ他に客の来ていないこぢんまりとした串焼屋で、一人の編集者と私は祝杯をあげていた。刷りあがったばかりの『〈国語〉と〈方言〉のあいだ』を手に、次は何を出そうか、といった話をしていた。(中略)
日本酒片手にページをめくっていたこの本は、装幀もふくめて気に入ったものであった。しかし、とある本において、ルールにのっとらない引用の対象にされてしまった。著作権法上は問題ない、といいはられてみて思ったのは、知の堕落であり、出版という活動のなかでは学問とてつまらぬ消費の対象とされてしまうのだ、ということであった。
いまさらなにを呑気なことを、と思うだろうが、こうした無遠慮な行為を許せなかったのは、それが懸命につくりあげた著作に対して行なわれたからでもあった。(中略)
そうした切り貼りの産物である辞書が現実に存在しつつも、一方では辞書は「権威」としてあがめられるものでもあった。なぜそうした構造ができてきたのか、それを使う側はどのように受けいれてきたのだろうか、というのが執筆の初発の動機でもあった。
そうした動機があったうえで、約束から六年以上が経過したにもかかわず、結局は、いろんな辞書がありますよ、というような、素描ともいえない、粗描(とすらいえないかもしれない)という陳腐な結果に終わってしまったようにも思う。
「おわりに」で電子辞書の話をしたが、求める語の意味を一対一対応で知るためだけに電子辞書がきわめて便利に使用されつづけていくとしたら、語の歴史というものへの興味はよりいっそうかきたてられなくなっていくだろう。(中略)
ともあれ、電子辞書の受容のありようをもう少し時間をかけてみきわめていくと、辞書の政治学はまた別の局面をみせることになるのでは、ということだけ述べておきたい。(中略)
平凡社編集部の松井純氏と、ふたたび仕事ができたことを、心から嬉しく思う。
刷りあがったこの本を肴に、今度は池袋の、あの飲み屋でどんな話がでるのか、秘かに楽しみにしている。〈平凡社 二九四〇円〉
08.04.21 愛国者の座標軸
08.02.21 発達としての共食
08.01.21 即効即決! 驚異のテレアポ成功術
07.12.21 コピー用紙で折る
07.11.21 なにわ大阪食べものがたり
07.09.21 企業不祥事事典 ――ケーススタディ150―
07.08.21 海を抱いたビー玉 ―〜甦ったボンネットバスと少年たちの物語〜―
07.07.21 少数言語としての手話
07.06.21 「いのち」の話がしたい
07.05.21 幕末下級武士の絵日記
07.04.21 「生死」と仏教―名僧の生涯に学ぶ「生きる意味」―
07.03.21 書物の日米関係
07.02.21 団塊の楽園
07.01.21 竹内好セレクション 全2巻
06.11.21 『怖るべき天才児』
06.09.21 心の荷物をすっとおろす 号泣力
06.08.21 嘘とだましの心理学―戦略的なだましからあたたかい嘘まで―
06.07.21 変化に直面した教師たち
06.05.21 ガイドブック 成年後見制度
06.04.21黄金期歌舞伎名優アルバム
06.03.21動物おもしろ基礎知識
06.02.21辞書の政治学
06.01.21蘇我氏四代
05.12.21聴覚障害者への統合的アプローチ
05.11.21中国古典小説選
05.09.21アキラの地雷博物館とこどもたち
05.08.21母さん僕のために泣かないで
05.06.21夜の記憶
05.05.21古代日本の女性天皇
05.03.21ようこそ、ろうの赤ちゃん
05.02.21航空「2強対決」11選
05.01.21NPOと新しい社会デザイン
04.11.21犯罪科学捜査