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村瀬嘉代子著B6判 2310円(税込)日本評論社( この本のページ )
私が聴覚障害者の方々の臨床にささやかながらかかわるようになったのは、思いもかけない契機によってであった。これについては、すでに日本評論社より編集出版した『聴覚障害者の心理臨床』(一九九九)の中でも記したことではあるが、聴覚が、人が生きていく上でいかに重要な意味を持つかについて再認し、さらには心理臨床の本質に触れる命題に出会った、ある衝撃的なエピソードがあったのである。かいつまんで述べよう。(中略)
この本を読まれた重複聴覚障害者の施設長が一九九九年大学へ来訪された。「施設入所者には重篤な心理的問題を持つ人々が少なくないこと、かかわり方をより良い方向へと努力することによって進めていきたい、そのために心理的援助を求めている」と。文字通り細々だが、今日まで心理的援助を模索して行ってきた。(中略)
そこで、窮したあげく、相互に共に過ごす時間を大切に、向かい合って、お互いの似顔絵を描いてみるのはどうであろうかと、ふと思いついたのである。私はお互いの肖像を描こうと、身振りや絵を描く実演で意図を伝えた。技術は稚拙で不十分だが、相手の一瞬の緊張の緩んだよい表情を、あるいはずっと頑なな表情だが、この人が微笑したらこうではないかなど、どこかその人に似せながら、表面に見えている以外のポジティブな一条の光を期待して描いたのが、口絵の一群の絵である。心理的援助場面でのこういう試みは前例がないようで、とりあえず、「相互似顔絵スケッチ法」と名付けた。私がスケッチした入所者の似顔絵と、入所者各自がその人らしい描き方で描いてくれた、私の似顔絵である。詳細は本文をお読みいただくとして、絵を描く以外のどのような場面でも、個別に即して考えることなくしては、入所者との間につながりは生じがたかった。こういう実践の一端を記したのが本書である。(中略)
障害を受けとめることや目標を、援助する側の視点のみで軽々しく設定し、当事者に要請するのではなく、障害を持つ人それぞれのその人の必然性に思いを巡らせるようにしたい。
聴覚障害の心理臨床においては、この領域に大切な手話や指文字の会得、その他技法の工夫は必要であるが、なによりも、そこには心理臨床の本質が問われていると思われる。
08.04.21 愛国者の座標軸
08.02.21 発達としての共食
08.01.21 即効即決! 驚異のテレアポ成功術
07.12.21 コピー用紙で折る
07.11.21 なにわ大阪食べものがたり
07.09.21 企業不祥事事典 ――ケーススタディ150―
07.08.21 海を抱いたビー玉 ―〜甦ったボンネットバスと少年たちの物語〜―
07.07.21 少数言語としての手話
07.06.21 「いのち」の話がしたい
07.05.21 幕末下級武士の絵日記
07.04.21 「生死」と仏教―名僧の生涯に学ぶ「生きる意味」―
07.03.21 書物の日米関係
07.02.21 団塊の楽園
07.01.21 竹内好セレクション 全2巻
06.11.21 『怖るべき天才児』
06.09.21 心の荷物をすっとおろす 号泣力
06.08.21 嘘とだましの心理学―戦略的なだましからあたたかい嘘まで―
06.07.21 変化に直面した教師たち
06.05.21 ガイドブック 成年後見制度
06.04.21黄金期歌舞伎名優アルバム
06.03.21動物おもしろ基礎知識
06.02.21辞書の政治学
06.01.21蘇我氏四代
05.12.21聴覚障害者への統合的アプローチ
05.11.21中国古典小説選
05.09.21アキラの地雷博物館とこどもたち
05.08.21母さん僕のために泣かないで
05.06.21夜の記憶
05.05.21古代日本の女性天皇
05.03.21ようこそ、ろうの赤ちゃん
05.02.21航空「2強対決」11選
05.01.21NPOと新しい社会デザイン
04.11.21犯罪科学捜査