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―株式会社は庶民を捨てる―
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安田原三・相川直之・笹原昭五編著 1890円(税込み) 日本経済評論社
松本清張の小説に出てくる信用金庫に勤める女性職員は銀行や出版社で働く女性に比べて、やや地味である。しかし、華やかでない反面、近所のおじさんやおばさんと親しくし愛されている。金融機関のほんとの価値とは、どういうことか。 信用金庫、信用組合といっても、小さな銀行か、くらいにしか認識していない人が多いだろう。それはそうかも知れない。預金を預かり、住宅の修繕や、マンションの購入時にはローンを組んで、資金を貸してくれる。なるほど、銀行と変わりないや。 ところが、信用金庫や信用組合は、銀行とことなり地域住民が利用者・会員となって、地域を栄えさせる相互扶助を目的とした金融機関なのだ。別の言い方をすると、営業区域が限定されていて、そこに住所か営業所を持っていないと金は借りられないし、従業員が300人以上いる会社には貸せないなど、誰にでも貸したりすることはできないのだ。地域と中小零細企業者、路地裏の老若としかつき合えない法的な規制があるのだ。 実話を話そう、少し恥だけど。出版社を始めて10年目のこと、小社が資金繰りに行き詰まった。金融機関はこういうことには勘がいい。神保町の角にそびえ立つ2つの都市銀行は、すぐさま小切手帳と手形帳を引き揚げに来た。明日から使ってくれるな、と担当の若き銀行マンは冷たい視線で宣告するのである。抵抗も弁解もする暇もなく、都市銀行との取引は絶たれた。それから何年もたって、こんなことのあったことも忘れて、「貸しますよ」などと親切そうに寄ってくる。私は忘れない。そして、ほしい時に貸さず、必要でないときに貸そうとするその身勝手を許さない。信用金庫とも取引していて助かった。神楽坂と岩本町にあった2つの信用金庫が、「どうした、どうした」と心配顔で近寄って来てくれたのだ。金利のことより、今は会社を建て直すのが先決だ、とか言って、蒼白な顔色をした私に1杯おごるのである。こういう時の1杯は身に浸みる。地域密着、お客さまが第一と言っていたことが、ただの法螺であったかどうかが試される時だ。信用金庫は金貸しではあるが、高利貸しではない。会社の将来だけでなく、経営者や社員の顔や人柄をみて貸すのだ。何年もかかったが、お陰で平らになった。今も仕事ができ、こんな拙文が書いていられるのも、ホント、信用金庫のお陰なのです。 さて、そんな信用金庫や信用組合に対して、小泉政権時代から始まっていた「規制改革・民間開放推進会議」なるところが、「協同組織金融機関(すなわち信用金庫、信用組合)は、やっていることは銀行とおなじだ、今どき地域にしばりつけ、税制的にも優遇措置をとっているなど、時代にあわない。株式会社に組織変更し、銀行と同じ土俵で商売しろ」と言い出したのである。信用金庫と取引して体力を強めた会社もあろうが、その大半は「零細」な企業や貧乏な労働者がお客なのだ。200万円とか300万円が足らない人々がその取引先の大半なのだ。市場主義優先の株式会社となった場合、我らは相手にされないことになる。本書は地域や中小企業者に密着して生きる信金・信組の存在の意義を問い直し、その存続を主張する人々によって書かれている。 どうしたことか、9月末初版、2ヶ月足らずで3刷、計5000部。普段、1千部くらいの作りで2年も3年もかかって重版しているこの身だが、こんなに早く重版がかかると、とまどってしまう。でもいいや、注文が来るうちは版を重ねよう。久しぶりに品出しのお嬢さんが忙しがっている。(吟) ほかに次の本もあります。 小林春男 『信用金庫経営論』 2600円 森 静朗 『庶民金融思想史体系IV』 7000円
日本経済評論社 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-2 Tel 03(3230)1661 Fax 03(3265)2993 http://www.nikkeihyo.co.jp/
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ