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―賞味期限切れの概念―
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上野千鶴子編四六判 2625円(税込)勁草書房( この本のページ )
人はアイデンティティなしでは生きることが出来ないのだろうか? 一貫性のある自己とは、誰にとって必要だったのだろうか? 賞味期限切れの概念に、多様な分野の専門家が問題提起をする話題の本。
私たちは一般に、アイデンティティを確立することの必要性を当たり前のように語っています。ひとびとはアイデンティティなしでは生きられないかのように振る舞い、宗教や文化や民族のアイデンティティをめぐっては殺し合うことさえ起きています。が、果たしてアイデンティティ、つまり一貫性、同一性のある自己とは、本当に必要なものなのでしょうか?
本書は自明のことのように語られているアイデンティティという概念が、決して当たり前のものではなく、またその有効性もなくなったことを明らかにしたとてもセンセーショナルな本です。
アイデンティティという概念は、抑圧的な一面を持つとともに、多元化する現在の社会の自己とは矛盾するようになったと本書は分析しています。たとえば、テレビでニュースを見ながら、画面のウィンドで野球中継をチェックし、さらに電話の受話器を耳に当てているという生活を現在、私たちはしており、複数のアイデンティティ間の隔離と共存はむしろ適合的と言えるのではないでしょうか。
本書は「アイデンティティ強迫」に憑かれた近代社会および近代社会学理論へのレクイエムであると編者は言っています。構成は以下のようになっています。まず、編者による序章「脱アイデンティティの理論」はアイデンティティとは何かを理論的、学説史的にまとめています。それにより、アイデンティティという概念の歴史がそれほど古くはないこと、そしてその概念が社会的ニーズの変化に応じて変わっていくことが分かります。以下各論では、社会学、精神病理学、文学など多彩な分野から、アイデンティティという概念が、それぞれのフィールドで具体的事例をもとに分析されていきます。
第一章「脱アイデンティティの政治」(伊野真一、社会学)。
第二章「物語アイデンティティを越えて?」(浅野智彦、社会学)。
第三章「消費の物語の喪失と、さまよう『自分らしさ』」(三浦展、マーケティング論)。
第四章「解離の時代にアイデンティティを擁護するために」(斎藤環、精神病理学)。
第五章「非・決定のアイデンティティ――鷺沢萠『ケナリも花、サクラも花』の解説を書きなおす」(平田由美、文学)。
第六章「言語化されずに身体化された記憶と、複合的アイデンティティ」(鄭暎惠、言語学)。
第七章「母語幻想と言語アイデンティティ」(小森陽一、言語学)。
第八章「アイデンティティとポジショナリティ――一九九〇年代の『女』の問題の複合性をめぐって」(千田有紀、社会学)。
いずれも時代に対する鋭敏さでは誰にもひけをとらない論者によるものです。
そして終章「脱アイデンティティの戦略」で編者が総括をすることにより、「アイデンティティ」の問題点が見事に浮かび上がっています。
一貫性のある自己とは一体、誰にとって必要だったのでしょうか。私たちは、もはやこの問いを過去のものにしてよいということに、本書を読むと気付かされるでしょう。
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ