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日本近代文学館監修 十川信介解説 A4判 99750円(税込)二玄社
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果たしてどれだけの作家が、今なお手書き派なのだろうか? すでに定着した感のある“執筆行為のデシタル化”時代だからこそ、近代文学の名作を敢えて原稿で読み返す時、肉筆の魅力がひときわ多彩な光を放つ。
漱石が朝日新聞に発表した数多の連載小説の中でも、爛熟期の最晩年に近く、しかも唯一の自伝的小説という点からも、重要な位置を占める名作「道草」。
美土路脩一氏から日本近代文学館に寄贈されたその貴重な自筆原稿は、漱石研究の第一級資料として長らく注目され、複製を望む声も頻りであった。その待望の出版が、全八八九枚のカラー版原寸復刻という形で、ついに実現した。
刊行に向けて寄せられた推薦の言葉にも「眠られないほど昂奮」(原子朗氏)、「何たる幸せ!」(大岡信氏)、「心踊る旅の促し」(宗像和重氏)と、心からの喜びが滲み出ており、関係諸氏の復刻出版への熱い期待が身に沁みて感じられた。
それほど原稿の復刻が待望されていた理由は、いうまでもなく活字本では知りえない推敲の跡をまざまざと目にすることができるからだが、とはいえ単に推敲の経緯を辿るだけなら、補記の仕様によっては活字で示すことも可能だ。
けれども、実際の肉筆原稿を見れば、一口に推敲といっても、多種多様な「姿」がそこにはある。
某所ではいともあっさりと数本の斜線で削除しているかと思えば、その数行先に、ほとんど偏執的とも思える縦・横・斜めの入念な塗り潰しの跡が見える。あるいは、少し進めては少し戻り数文字の加筆を加えてはまたさらに少し進み…と、淡々と規則的な加筆訂正を繰り返しながら書き進めているところもあれば、一気に何枚も書き進めた後で、改めて前に戻り細かい塗り潰しと風船のような長い足の吹き出しを大量に入れ直している箇所もある。
また、資料としての取り扱いの利便性を考慮して洋装製本の体裁をとった本書を、ペラペラと連続写真を見るように繰ってゆくと、そこにまた新たな発見がある。バラ原稿を一枚一枚めくっていったのでは不可能なこの方法で手早く目を通してゆくと、百二回の長い連載全体の中での加筆訂正の傾向と変化が、一筋の流れとしてありありと把握できるのである。
生身の漱石と出会い拓かれる無限の可能性
以上の生原稿ならではの推敲跡の読み取りに共通しているのは、それらが、文豪漱石が「道草」という名作を生み出すまでに辿ったまさに感情や生理の発見にほかならない。つまりそれは、遠い存在であるはずの文豪の身体に、原稿という窓を通して直接に対面していることでもある。
一方、本書には、漱石研究の第一人者である学習院大学十川信介教授による、推敲全体に及ぶ極めて精緻な分析が、別冊解説として付されている。そこでは、「ねばならぬ」などの語句や、時間・強調を表す副詞、あるいは「Aは…した。Aは…」から「…したAは、…」へ、といった共通する文型修正など、推敲時に頻出する特徴について鋭い指摘がなされいてる。この解説には、読者自身がそれぞれ独自の新しい「道草」と出会うための方法論のヒントが、ふんだんに盛り込まれているのである。
先に述べた視覚的な発見から、理知的な深い分析に至るまで、「道草」の原稿には、漱石文学読解の新地平を拓く無限の可能性が秘められている。
収録原稿枚数=全889枚
上・中・下全三巻=A4判上製クロス装・総904頁別冊解説=A4判・並製・8頁、以上合冊函入、付録複製=冒頭2葉・台紙貼付
限定380部・99750円
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ