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折々の花と命への賛歌
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星野富弘著 26cm×21cm 1470円(税込) 偕成社
前作『あなたの手のひら』から4年ぶりの新刊。
2003年までの59点の詩画に、著者の近況を語るエッセイ24点を収録。国内の詩画展はもとより、海外でも次々と開催され、星野富弘の〈花の詩画〉は各国で注目されている。
詩画にたくす思い
星野富弘という青年の詩画がひっそりと話題になってきたのは、1980年代だった。「愛、深き淵より。」(立風書房)が世に出た頃からではないだろうか。初めは地元の小さなギャラリーからだった。その後詩画集「風の旅」(立風書房)が出て、各地で、詩画展をやりたいという有志があらわれた。みなボランティアで、星野さんの絵や詩を、たくさんの人に見て欲しいという熱い思いをもった個人だった。
以来、毎年日本の各地で花の詩画展が開かれ、年を追うごとに入場者が増えている。
星野富弘さんは1946年群馬県生まれ、体育教師として赴任した中学での指導中、マットに墜落して頸椎を損傷、首から下は動かない状態で入院生活は9年におよぶ。入院中、友達の見舞いの手紙に返事を出したくて、口に筆をくわえて文字を書き始める。余白に枕もとの花を書き加えるうち、花への愛おしみが増し、詩を添えた花の絵が増えていった。
絶望の淵からはいあがろうとする意志の強さと、信仰に支えられた謙虚さ、加えて生来の明るさ、闊達な人柄が詩にも現れて、熱烈な読者を増やしていく。
創作の原点
「小さな花ですが、花はどんなものでも受け入れてくれる、大きな包容力を持っています。(中略)わたしの未熟な言葉も、花に添えるから書け、花だから受け入れてもらえるのです。」
この言葉は星野さんの創作の原点のように思える。
花に向き合うときの真摯な姿勢も、どんなにすがれた花にも愛情を抱くことのできる、感情の柔らかさも、変わることがない。
星野さんの詩の世界には、花々への愛情と、故郷東村近辺の自然への思い、腕白だったらしい少年時代への郷愁と、繰り返し現れる周囲の人々への暖かいまなざしがある。
そして今回の新刊には、50代後半にさしかかった著者の詩画に、いままでにあまり見られなかった視点が加わった。
とかげはその昔
戦いに負けて
尻尾を捨てて助かった 切れた尾は
痛みに耐えながら
赤い土を耕して
必死に生きた
とかげも時々
古傷が痛んだが
相変わらず東の方ばかり 見ている
とかげよ おまえの尾が 鉄条網と海にかこまれて 生きているのを
知っているか
沖縄の詩画展へ出かけたときに生まれた詩である。
積極的に社会に関わろうとする著者の意志が伝わってくる。
これはエッセイにも諸処に見られるが、ちょうどサンフランシスコ詩画展に出席していた9月11日に同時多発テロがおこったときの思い出は衝撃であったことと察する。
静かな山村に暮らしながら、世界情勢に胸をいためる著者の目が印象に残る。
既刊の詩画集には多くの感想がよせられるが、近年十代の読者からの感想が増えている。詩のいくつかが、教科書に入っていることから、若い世代の目にふれる機会が多いのであろうが、優しい花々と平易な言葉遣いが、世代を越えて読者を広げてきたからではないだろうか。
「中学3年生の時の国語の教科書に詩が記載されていて、とても興味深くそして感動したので、買ってみました。今まで生きてきて、詩、絵に文章にまったく興味がなかった私はこの作品に出会えて良かったです」 (東京都 15歳)
生の賛歌をうたいながら謙虚に、ときには軽妙に自身を表現する詩人に脱帽!
〈26cm×21cm 94頁 1470円(税込)〉偕成社
〒162-8450 東京都新宿区市谷砂土原町1-5
tel03-3260-3221
fax03-3260-3222
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04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
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