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ホッファー哲学の精髄
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エリック・ホッファー著 中本義彦訳 四六判 2310円(税込) 作品社
「沖仲仕の哲学者」エリック・ホッファーが、いま再び脚光を浴びている。『エリック・ホッファー自伝』の刊行以来、各社からこれまでの著作が次々と復刊されるなか、リバイバルの火付け役となった作品社から待望の新刊が刊行された。
思索の結晶
その特異な経歴とスタイルから「沖仲仕の哲学者」と呼ばれるエリック・ホッファー(1902―83)が、生涯にわたって書きつづけたアフォリズムをすべて集成したのが、本書『魂の錬金術』である(『情熱的な精神状態』『人間の条件について』を完全収録)。本書はいわば、ホッファーが人間や社会、自然や文化、人生について短い文章で綴った随想集であり、彼の思索の結晶といえるだろう。
彼の前半生については、『エリック・ホッファー自伝』(作品社)に克明に記されているように、少年期の失明、十八歳で天涯孤独、二十八歳で自殺未遂、十年にわたる放浪などドラマティックな出来事で彩られている。後半生は、その大部分をサンフランシスコの港で沖仲仕として働きながら、八十一歳で亡くなるまで、図書館に通い、読書と思索、そして著述を続けた。このような波瀾に満ちた人生を送った一人の人間が何を思い、何を考えたのか、この全アフォリズム集は余すところなく伝えている。
生きた哲学
「わたしは専門的な哲学者ではない。抽象的なことは扱わないからだ。一枚の葉や一本の枝が幹から育つように、わたしの思想は、生活のなかから育ったものなのだ」と語っているように、彼のアフォリズムはどれも抽象的な事柄ではなく、きわめて具体的な事象を扱っている。たとえば、「われわれは自分自身に嘘をつくとき、最も声高に嘘をつく」、「弱者にとって誰か他人と似ているということほど、大きな慰めがあるだろうか」、「憎悪は、しばしば希望の言葉を語る」、「山を動かす技術があるところでは、山を動かす信仰はいらない」といったように。これらは彼自身の経験から紡ぎだされた言葉であり、現代人にとっての生きた哲学である。
彼の独自の思想とスタイルには、世界恐慌が起こり、全体主義が台頭した一九三〇年代、つまり「激烈な変化の時代」に思索を始めたこと、さらに著述のきっかけとなったのが、モンテーニュの『エセー(随想録)』との出会いであることが大きく影響している。その主な考察対象は、変化という試練にさらされた現代人の精神状態であり、またそのスタイルは、自己省察を通して人間の本質を剔抉し、短い章句で表現したモンテーニュやパスカルに負っている。
思いやり
ホッファーは善と悪、美と醜、真と偽が絶えず変化する「魂の錬金術」に人間の本質を見る。そして人間が天使にもなれれば、悪魔にもなりうる最も危険な存在であることを深く認識しているからこそ、本書においてくり返し「思いやり」の重要性を説く――「思いやりは魂の抗毒素である」。「他人に対する不正を防ぎうるのは、正義の原則よりもむしろ思いやりである」。「人類の驚異は、弱者の生き残りに由来する。病弱者や障害者、老齢者に対する思いやりがなければ、文化も文明も存在しなかっただろう」。
変化の時代に
ホッファーが再び大きな注目を集めているのは、現在がまさに人間の危うさを露呈させる「激烈な変化の時代」だからではないだろうか。彼が指摘するように、変化の時代においては、人間は新しい状況にすぐには適応できず、解消し得ない不平不満を抱え「社会的不適応者」となる。そして聖なる大義や民族、指導者との自己同一化を切望し、戦争や宗教へファナティックに身を投じる可能性が高まる。
ホッファー逝きて二十年、彼の冷徹な洞察と「思いやり」を礎とする警句の一つ一つが古びるどころか、世界に蔓延するファナティシズムに対して、孤高の光を放っている。
作品社 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋二の七の四
TEL03(3262)9753 FAX03(3262)9757
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
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08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
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06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
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05.11.21国際政治事典
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05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
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04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
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04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
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04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
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04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
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