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星空で見つける何か
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Milton D.Heifetz&Wil Tirion 松森靖夫編訳 岩上洋子・高橋真理子訳 A5判 2625円(税込) 恒星社厚生閣( この本のページ )
夜が闇ではなくなった町で、日々追われるように過ごしている人達が、旅先で、家路で夜空を見上げて心和ませる時間を創るきっかけになるような本になればと思います。
出題
「日本(東京)で三日月が見える時、オーストラリア(シドニー付近)ではどんな形の月が見えていますか?」数年前の大学入試に出題された問題だそうである。さて、お分かりになるだろうか。かくいう私も、不意打ちをくらった。北半球に住む私達は、夜空といえば、つい北極星中心の夜空を思い浮かべがちである。北極星が中心にあって、北斗7星とカシオペヤがその周りをぐるぐる回るあの図である。南半球でも当然星は見えるわけであるが、それを思い浮かべることができる人が幾人いるだろうか。南半球の星空を紹介する入門書として本書の企画が持ち上がった時、「北半球さえおぼつかないのに…」という私の情けない声に、編訳者の松森先生は、まず北半球版、その半年後に南半球版を発刊という企画の変更をご快諾下さった。原著は姉妹本としてケンブリッジ大学出版から発刊されており、全世界で翻訳出版され、天文関連書としては異例の発行部数を誇る名著である。旅先の美しい星空の下、我が子やあるいは恋人と他愛のない話をしながら、夜空を見上げる穏やかな時間が持てたとき、夜空を見上げながら星座を教えてあげられる、その名の由来を語ってあげられる、しかも「あの星から腕をまっすぐに伸ばした状態で拳3個分左の星と…」なんてスマートな説明ができれば。そういう点で、原著には類を見ない卓越したものがあった。
星座の簡単な探し方
経験のある方ならご存知だろうが、初心者にとって夜空に散らばった星々から目的の星を探し出すのは、思いのほか大変である。本書では、まず基点となる星を定め、そこから少しずつ視野を広げていく。腕を伸ばして指で角度と距離を測る。例えば、拳1個分で約10度。親指と小指を思い切り開けば約20度という具合に、目的となる星を探して繋げていく簡単な方法で、手と目が唯一の観測機器である。見開きの左ページが2色刷りの星図。右にその解説。難しい専門用語は一切抜き。星図は、厳密なものではなく、あくまで見た目を重視しているので初心者にもとてもわかりやすい。残念ながら、南半球版掲載の夜空は国内で見ることができない。ゆえに類書がほとんどないわけであるが、読み進むうちに、初めて夜空に星座を探そうとした幼い頃の新鮮な想いを呼び起こさせてくれた。観たことのない遠い夜空に思いを馳せて星空を散歩するのもなかなか楽しい。
南半球の星座
星を繋いで星座を作るという楽しみは既に5千年前のバビロニアで行われていたという説もある。現在、全天には公式に88の星座が設定されている。そのうち北半球から見えないものは単純に考えれば約半数。本書巻末の南半球の星座1覧を見てみると星座とは切り離せないギリシヤ神話をモチーフとしたものが星座名の中心となってはいるが馴染みのない名前が並ぶ。しかし、いずれもその名の由来をたどってみれば、時代の息吹が感じられる名前ばかりである。
南半球先住民の星の神話
本書では、南半球の星にまつわる神話として、ギリシヤ神話の他にアフリカ・南アメリカ・太平洋諸島の原住民の豊かな感性が光る民間伝承も紹介する。それらは、ギリシヤ神話にはない素朴さ大らかさに溢れている。なかでも私のお気にいりは、タヒチ島に伝わるさそり座の物語である。ピピリとレファという幼い兄弟の名が南国情緒を感じさせる。彼らは、夕飯を与えてくれなかった母親に絶望して空へと上り、さそり座の尻尾に仲良くならぶ2つの星になってしまうのであるが、2人をなんとか引きとめようと追いかけて来た母親を、この兄弟はアンタレスからクワガタを呼び出して追い払わせる。この一節から、私は、生と食が直結した、おそらく今より生という感覚が日常において濃密だった時代を想った。日常を離れ、星空に思いを馳せるような時間は必要だと思う。本書から宇宙の広がりを感じ、失いかけた感覚を新たにしていただければと願う。
既刊姉妹本
『星空散歩ができる本―北半球版』A5版・上製・104ページ・2415円(税込)
恒星社厚生閣 〒160-0008 新宿区3栄町8
TEL03―3359―7371
FAX03―3359―7375
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ