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一年三六五日を書が埋めつくす
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石川九楊著 B6判 1890円(税込) 二玄社
2001年1月1日より京都新聞朝刊一面に連載された大好評コラムの単行本化。1文字の「書」を契機に、歴史・文化・時事から生活まで、著者独特の語り口が、あらゆる分野へと駆けめぐる。図版とエッセイが織りなす365篇。
1日1文字の書
2001年1月1日、京都新聞朝刊1面で、「石川九楊の一日一書」の連載が始まった。
1日1文字の「書」を取り上げ、160字内外のコラムをそえる。この毎日の連載を加筆修正し、新聞休刊日分を新たに書き加えてまとめたのが本書である。
例えば、10月27日のページでは、「読」と刻された、字画の数ヶ所が欠けた印を掲げ、次のように展開する。
「読書週間。本ほど安いものはない。生涯をかけた思索が高くともゴルフ1回分で買える。ローン、家賃、通信、自家用車費用を生計費で割る新エンゲル係数が近年、急上昇。学生は本も買えない極貧状態? 使途を変えれば生活水準は上がるのに。清の陳錬の篆刻〈読〉。印鑑の欠けは不可。篆刻に欠けは不可欠」。
私たちが日常用いている印鑑には欠けがない。しかし、篆刻家の作品では「欠け」は重要なモチーフである。私たちの生活の中のハンコと、芸術としての篆刻作品と、その両者の違いについて、これほど簡明にいい当てたものはないだろう。
一日一書の背景
このように、毎日取り上げられる1文字の「書」が、連日、中国と日本のあらゆる時代をスリリングに飛遊するように繰り出される。
取り上げられた「書」の取材元として、本書あとがきにおいて、著者自らが編集した『書の宇宙』(全24冊)に触れ、「この日本唯一のカラー版書道選集叢書の中に詰まった書の力に改めて驚き、今ではこの叢書のみで、どこまで行けるか楽しみでもある」と語られる。著者の自在な手腕は、紀元前約15世紀から現代にわたる、東アジアの書に関連した膨大な資料と向かい合う長年の作業に支えられているのである。
書は東アジアの根底
東アジア漢字文化圏において、「書」は文化の根底に位置する、と主張する著者の発言は、多くの識者に支持され、さまざまな分野に刺激を与えつづけている。
昨年末刊行の『誰も文字など書いてはいない』では、「書」が、文化の核心に関わるものだということを、私たちの想像を超えた大きなスケールで平易に説き明かした。
そして、このテーマを日常の生活の現場にまで引き寄せ、1日に1文字の「書」によって、種あかしをしたのが、本書である。
まさに、本書に集められた「書」とコラムは、著者がこれまで論じてきたことの「標本」というべき365篇である。読者は、私たちの文化と生活に、紛れもなく書が息づいていることを実感せざるをえないだろう。
まず、取り上げられた1文字の「書」に引き込まれる。また、その日になぜその書が選ばれたかを楽しめるだろう。
そして、コラムである。歳時や時事、歴史や文化など、さまざまな分野を縦横に駆けめぐるように毎日が連ねられるだけではない。前述したように、まるで「書」が東アジア漢字文化圏に根づいていることを立証するための「標本」が陳列されているかのように各ページが構成される。
そういう意味で、「書」に語らせる、あるいは「書」が投げかけるさまざまな問題を翻訳して見せているような、著者のマジックに圧倒される。
この魔法のタネは、膨大な書の歴史の力と、これと長年真摯に対峙してきた著者のまなざしであると思える。
最後に、日本文化について示唆に富む11月13日のページを紹介したい。図版は仮名の「ひと」が掲げられている。活字では2文字だが、図版では明らかに1文字であるかのように書かれている。
「〈ひ〉と〈と〉が一体化した〈ひと〉つまり、人。この文字に日本語と日本文字成立の秘密が潜む。漢文に習った1字ずつの分かち書き書法の草仮名から、女手(平仮名)になると、語の単位で繋がる新書法が生まれた。滑らかに書かれることにより日本語は成熟し、古今和歌集、土佐日記、源氏物語などの成果が生まれた。この〈ひと〉の字は日本書史と日本史を解く鍵である」。
二玄社 〒113-0021文京区本駒込6の2の1
TEL03(5395)0511
FAX03(5395)0515
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ