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アイデンティティ研究
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鑪幹八郎著 A5判 4410円(税込) ナカニシヤ出版( この本のページ )
他者と関係をもつという操作のなかではじめて自我が機能するという考えに立てば、自我とは「他者と関係をもつときに、おのが理性に自分というものを立ち上げたときに現れる自分に対する意識のことだ」などと操作的に定義できるかもしれない。
動詞アイデンティファイ
今から30年程前そのアイデンティファイという動詞に出会ったのは、学生のときだった。ある植物の名前を決定するのに、その名も知らぬ植物に名前を当てるのは図鑑が頼りだった。先人が既に名前を付けているそれと同じだと決定する作業である。同定するという。どうやっても同定できないときは、図鑑の使い方が悪いか、あるいは新種の発見に他ならない。
それから今の職に就いて、20年程前に、初めて出会った当時のアイデンティティへのわたしの理解はこういうものだった。つまり自分がぴったりと合うべく「重要な他者」に向かって自分自身を近づけていくときに見つかるその重要な他者と同じである、同じとなる、そういうことをアイデンティティがあるというのだと。要するに頼るべく図鑑があってそこにわたしはこれだというものを見つける(同定する)ことがアイデンティティの形成だと。
「重要な他者」探し
そのようにアイデンティティを定義すると、すぐに面白おかしくなるのは、探せばどこかに見つかるかもしれない重要な他者の生き方の真似事でいいのかという反省が直ちに立ち上ってくることである。アイデンティティ探しは、そういう真似できる人間との出会いを求めることなのかという疑問である。ただ悲しいかな、こういう真似事をきっぱりとは否定できないのも事実だ。だってある俳優の映画を見終わって出てくる観客にはその俳優がしていたのとそっくりなしゃべりかた身のこなしが見て取れるからである。またある思想家に感化されるとか、その人そっくりな話しっぷりになっていることはよくあることだ。
アイデンティティという言葉との出会い
やがてアイデンティティという概念との本格的な出会いが始まった。その時が鑪先生とのお付き合いの始まりである。最初はその姓が読めなかった。たたらとお読みする。現日本を代表する心理臨床家・精神分析家である。まだ千田町に広島大学教育学部があった頃からのお付き合いの始まりである。そしてこの間「アイデンティティ」を冠した著書の出版のお手伝いをさせていただいている。『アイデンティティ研究の展望』は既に5巻6冊が刊行されている。この『アイデンティティ研究の展望』は今後どの位の量になるか想像がつかないが、とりあえずは間もなくこの3月には第6巻の大部の原稿が届くということになっている。
鑪幹八郎著作集
鑪先生がこの日本語に訳すことのできない「アイデンティティ」の概念と格闘したであろう初期の論考をたどるのと同時並行して、ライフサイクルとアイデンティティ研究においては不即不離のE・H・エリクソンの思想の紹介とその反芻がなされるであろう。本書では特にアイデンティティ研究のなかでも臨床的な部類に属する論考を採り入れ、アイデンティティの概念とライフサイクルの概念を理解するのに重要と考えられる論文を採録してある。
序章では著者とエリクソンとの出会いについて述べられているが、特に興味を惹くのはエリクソンと江藤淳とのつながりについて触れ、江藤淳が日本でもっとも早くエリクソンに注目したとの卓見が披露されるところである。漱石への流れが喚起されることが新鮮である。第1章「エリクソンの人となり」では、エリクソンのライフサイクルからエリクソンの研究史をとらえた。第2章「発達論とライフサイクル論」では臨床的にとらえたライフサイクル論とアイデンティティ論を中心にしながらも特にエリクソンの発達図式に意を注いである。第3章「アイデンティティ論」ではライフサイクル論に位置づけられたアイデンティティ論を中心にして論考したもので、エリクソンのアイデンティティ論を日本の臨床経験からどのように展開したかが述べられている。そして終章となる。400ページを優に越す大著である。
(第1巻『アイデンティティとライフサイクル論』A5判上製カヴァー巻き 420ページ 4410円(税込))
続刊情報
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第2巻『心理臨床と精神分析臨床』
第3巻『心理臨床と映画』
第4巻『心理臨床の倫理とスーパービジョン』
第5巻『心理臨床と臨床心理研究法』
以上がただ今鋭意編集作業中で、随時発刊予定である。
『アイデンティティ研究の展望』第6巻ともども、乞うご期待。
ナカニシヤ出版 〒606-8316 京都市左京区吉田2本松町2番地
TEL075―751―1211
FAX075―751―2665
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ