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日本語研究のおもしろさを伝えたい
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町田健編集 籾山洋介著 A5判 2100円(税込) 研究社出版( この本のページ )
日本語研究の各分野における基本となるべき最新情報を簡便に把握し、また新たな研究に進みたい人たちの道しるべとなるべく、過不足ない理解を促すための入門書シリーズ。予備知識のない方でも読み通すことのできる知的な日本語読本です。
ショックだったこと
ことのはじめは、一昨年、名古屋大学の町田健先生と仕事のことで電話していたときのことである。国文法に話題がうつった。「国語の授業のとき、文節ってあったじゃないですか。ぼくネ、きのうネ、学校にネ、行ったみたいに、ネで切れという。あれ子供心にも違和感があったんですよ」以前からもっていた疑問をぶつけた。「違和感があるのはあたりまえです。間違いですから」「!……」
町田先生はなにげなく応えられたのだろうが、この「間違い」という言葉がしばらく頭でリフレインした。また、先生は中学校の娘さんに学校の宿題である国文法の問題で質問されたとき、「正しく」答えられず、「言語学者なのにダメじゃん」と言われてしまったことがあったとか。思わず笑ったあと、ちょっと神妙な気持ちになったのを覚えている。
けっきょく町田先生には教科書や参考書などから学校文法の問題点を洗い出してもらい、『日本語のしくみがわかる本』(研究社刊)でその成果を発表していただいた。ただ、同書刊行後もものたりない感じが残り、やがて「もっと体系的な形で日本語研究の全般について正しい情報を伝えたい」という気持ちが強まっていく。「日本語入門書シリーズをやってみませんか」と町田先生にご連絡したのは、同書が刊行された数ヶ月後のことである。
滑り出しは順調
ひとつ視野に入れなければならなかったのは、日本語教育能力検定試験、つまり日本語教師の資格試験の存在である。日本語学習者はアジアとオセアニアを中心に着実に増えており、それにともなって日本語教師志望者も増加している。ただ、この試験はかなりレベルが高く、きちんとした言語学的知識を身につけていないと合格はおぼつかない。受験者は大学生から社会人まで多岐にわたる。予備知識のない読者の学習の手助けになるようにも工夫したい。企画コンセプトは「若手研究者が中心になって、日本語研究の各分野について最前線の情報をわかりやすく伝える」に落ち着いた。また、町田先生の既刊『言語学が好きになる本』『生成文法がわかる本』が幸いにも版を重ねているが、体裁はそれらに準じてQ&A形式をとることにする。いろいろあるテーマのなかからとりあえず「日本語文法」「日本語音声学」「言語学」「日本語学」の4つが選択され、この町田健編「シリーズ・日本語のしくみを探る」が正式に動き出した。
日本語学への本格的な参入は小社としては初めてのことだったため、しばらく手探り状態が続くが、そんななか最初の原稿が届く。加藤重広著『日本語学のしくみ』の原稿である。加藤先生はまだ30代半ばだが、啓蒙書を書き慣れた大御所のような過不足なくしかもわかりやすくまとめられた原稿に、われわれは歓喜した。2001年10月刊行の『日本語学のしくみ』は一般書店の売れ行きも上々で、読者の反応もかなりよく、期待以上の順調な滑り出しを見せる。その1ヶ月後、2冊目の町田健著『言語学のしくみ』も順調な動きだ。
『認知意味論のしくみ』の経緯
3冊目にあたるのが、この1月に刊行された名古屋大学助教授・籾山洋介先生の『認知意味論のしくみ』である。
本書には別の経緯がある。担当者が日本語文法学会に出席したおりに籾山先生とたまたま隣り合わせになり、その場で盛り上がってできた企画だ。編者の町田先生は統語論の立場にあり、認知的アプローチにはやや批判的であるが、この「認知言語学」の企画追加の申し出にも町田先生に快くご承諾いただいた。両先生は共著も何冊かある間柄で、違う立場ながらお互いの学問を尊重する態度には頭が下がる思いがした。
それにしても「認知言語論」である。学問分野としてはかなり盛んにはなっているものに、まだ歴史は浅く、言語学にくわしくなければこの漢字5文字は実態以上に難解に感じるかもしれない。
でも、実際はいたって身近なテーマだ。「上り坂」と「下り坂」が同じ対象を表していたり、「卵を買ってきて」と言われた子供がうずらやダチョウの卵を買ってこないといった現象をどう説明するか。あるいは、「やっと」と「ようやく」はどこが違うのか。そういった日本語の意味にまつわる不思議が次々と明らかにされていく。日本語の奥深さとおもしろさを実感するにふさわしいテーマなのだ。
学問と商売のはざまで
本書ではアメリカの言語学者ラネカーの「認知言語学」をもとに日本語を考察している。当然『認知言語学のしくみ』というタイトルであるべきなのである。ちなみに、「認知意味論」というと、正式にはジョージ・レイコフの業績を指す。
しかし、本書が「意味についての本」であること、『認知言語学のしくみ』だと先行の『言語学のしくみ』と似てしまうこと、レイコフの業績も多く取り入れられていることなどから、『認知意味論のしくみ』のタイトルを冠すことになった。だが、どんな理屈を言おうと、「『意味論』のほうが売れそうな気がする」というのがもっとも大きな要因である。
やはり小さな罪悪感が残る。「クレームは来ないか」「難しそうに見えて敬遠されないか」などの不安と期待をもって、1月にこの3人目の子供を送り出したところだ。また、残り2人の子供が難産気味で、まるで病院でいらいらする父親のような心境である。
研究社 〒102-8152 千代田区富士見2―11―3
TEL03―3288―7777
08.04.21 『台頭する中国の草の根NGO』
08.03.21 『フェルメールの秘密』『ルソーの夢』『レオナルドの謎』『ゴッホの魂』
08.02.21 『原典現代中国キリスト教資料集』
08.01.21 『エウクレイデス全集』[全5巻]
07.11.21 いまなぜ信金・信組か
07.09.21 『百人一首大事典』
07.08.21 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
07.07.21 (1)『いのちってなんだろう』 (2)『自分ってなんだろう』
07.06.21 『10代の心と身体のガイドブック』
07.05.21 新自由主義
07.04.21 大学での学び方―「思考」のレッスン―
07.03.21 南原繁の言葉
07.02.21 『吉野裕子全集』
07.01.21 藤沢周平に学ぶ―人間は、人生は、こうありたい……―
06.11.21 『ブラックバスを退治する』
06.09.21 「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
06.08.21 『プロカウンセラーが読み解く 女と男の心模様』
06.07.21 憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本
06.06.21 復刻版 大宇宙の旅
06.05.21Dr.金田一&柴田理恵のことば診療所
06.04.21脱アイデンティティ
06.03.21農業技術事典NAROPEDIA
06.02.21アメリカの連邦財政
06.01.21舞台一阪神淡路大震災】全記録
05.11.21国際政治事典
05.09.21自然と人間リーディングス
05.08.21子ども図書館をつくる
05.07.21戦後史大事典
05.06.21愛する人がアルツハイマー病になった時
05.05.21子どもの英語学習
05.03.21マンガ 出張先は北朝鮮
05.02.21現代農業
05.01.21ナラティヴの臨床社会学
04.11.21「ひろさちやの祖師を読むシリーズ」全6巻
04.09.21安房直子コレクション全7巻
04.08.21写真でみせる回想法
04.07.21臨床心理学全書 全十三巻
04.06.21マキャベリ的知性と心の理論の進化論
04.05.21『サトラップの息子』『クレモニエール事件』『石、紙、鋏』
04.04.21夏目漱石原稿「道草」全三巻
04.03.21写真ものがたり 昭和の暮らし 全5巻
04.02.21育ちゆく子に贈る詩(うた)
04.01.21いきものをまもるシリーズ1 コウノトリのふるさと
03.11.21《花の詩画集》 花よりも小さく
03.09.21ダイナミック・メディシン 全七巻+別巻 完結
03.08.21大和の古墳I
03.07.21水をめぐる人と自然
03.06.21定本 手塚治虫の世界
03.05.21変わる家族 変わる食卓
03.04.21新英和中辞典 第7版
03.03.21餓鬼一匹
03.02.21魂の錬金術
03.01.21(図説)世界の歴史(1)「歴史の始まり」と古代文明
02.12.21耳をすまして
02.09.21ドイツの生涯学習
02.08.21星空散歩ができる本 南半球版
02.07.21仏教美術事典
02.06.21一日一書
02.05.21「現場」のちから
02.04.21検証―なぜ日本の科学者はむくわれないのか
02.03.21誰か死ぬのを手伝って
02.02.21アイデンティティとライフサイクル論
02.01.21認知意味論のしくみ
01.11.21(シリーズ身体とシステム)第1期全6冊
01.09.21国鉄・JR 列車名大事典
01.08.21ミステリー・リーグ